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サイレントワルツ~00





闇、闇、闇。


視界に移るものは何も無く。


床も天井も壁も何も無く。

ただ其処には空虚な闇が広がっている。



己以外の存在を確認できない無音の世界。


その世界のなかで少年は走っていた。

靴をはいてないはずの足は自身の血で作られてた赤い靴を。
少し浅黒い肌には汗で濡れた服が張り付き。
表情は恐怖で強張り口からは荒い呼吸音と抑えきれぬ嗚咽が漏れている。

軽くウェーブのかかった黒髪の隙間から見える紺碧の瞳からはとめどなく涙が流れていた。


少年、ダグラス・レナパードはただひたすら走っていた。

一刻も早く夢から覚めるために。
ダグラスがこの夢を見るのは初めてではない。
なのでこの世界からの脱出方法も心得ている。


脱出できなければどうなるかも。




はやく。
はやくはやく!!!!!

にげないと!!!!!



あれから逃げないと!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



ダグラスはただ走り続けた。


それしか道はないのだから。




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テーマ : 自作連載小説 - ジャンル : 小説・文学

狂喜と月02、金+緑=緋

目が覚めると緑頭の男と金髪頭が目の前にいましたBY 都築




「えぇぇ~!!!!!」
都築はびっくり箱もびっくりするくらいすごい勢いで飛び起きた。
周りには機械やら怪しい薬品やらなんやらかんやらが数えるのが面倒なくらい置いてある。そして寝かされていたのは診察台・・・というには白よりも赤が目立っているような。
そこでようやく都築は気がついた。

衣服はおろか下着すら身につけていない・・ようは素っ裸というと
体中にある縫合痕に。

「ひぇぇぇぇえええええええ!!なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!」





40分後。
心優しい緑頭(クルスというらしい)から服を貸してもらい
胡散臭げな金髪頭(ファウスというらしい)にココアを入れてもらい
ようやく落ち着いた都築は診察室?(たぶんそうだ。そうだとしんじたい。)から喫茶店のカウンター席に移動していた。
話を聞く限りどうやら目的の喫茶店らしい。
なぜか扉は真赤だがあえて聞かない方向性で話を進めたい。
というか都築にはとっても気になることがあるのだが。
「あのわたし・・・・怪我とかしてませんでした?」
ココアを口に含みながら(砂糖6杯入りで砂糖の味しかしない)
都築はカウンターの向かい側で悠々自適にコーヒー(きっとコーヒーだ。なんかビーカーに入ってるけど)を飲んでいるファウスに対し
一応丁寧語で問いかけた。
「ん~??ああv大丈夫だったよ。うん。」
ファウスはコーヒーのお代わりを継ぎ足しながら胡散臭い笑顔で
質問に答えた。あまりの胡散臭さと気を失う前に感じたあの激痛
、さらに起きた直後にいた場所を思い出し目の前の男を疑ったが
さすがにそんなことで嘘はつかないだろうしなにより都築の体は動いているし生きている。縫合痕は気になるがきっと目の錯覚だ。
「あ・・・そう「心臓とまって呼吸とまって内臓破裂に全身骨折
綺麗に残ってたのは首の上だけだったけどなんとか大丈夫だよv」
瞬間、ファウスの頭になにか円盤状のものが襲いかかった。
フリスビーにしては薄く大きな円盤をファウスはするりとかわし
そのまま円盤は喫茶店の壁を切り裂きながら緩やかに弧を描いて
主であるクルスの元に帰っていく。
円盤状のものはレコードでモダンなお洒落喫茶か寂れた喫茶店に
あるぶんには相応しいものだ。しかし、レコードは聴くものであって投げて相手を斬るものではないしそのようにも作られていない。
クルスがどれだけ人間離れの速さでレコードを投げたのかがよくわかる。そしてどれだけ苛だっってるかも。
「レコードは音楽を聴くものであって投げるものじゃないよ?クルスくんvビートルズとか坂本キューだってレコードなんだぞ?
むしろ名曲の数々はレコードに収められている。最近のCDだか
IPODだかなんだか確かに持ち運びは便利だが有難味が薄いね。
やはり持ち運び不便で劣化しまくるレコードだ。うんうんv」
しかしファウスはそんなことなんでもないように平然とコーヒーに口をつけている。顔には笑みさえ浮かべている。
正確には、形式上の笑みだが。
口は笑みの形を模しているものの中央に輝く瞳は明らかに笑っていない。瞳の色はとても冷たく暗く深く淀んでいる。
空気すら凍ってしまいそうだ。



一瞬の静寂

あっ。やばい。

そう直感した都築がファウスから距離を取ろうとした瞬間。





喫茶店は戦場と化した。



「・・・てめぇ!!!!!ふざけんのもいい加減にしやがれ!!!
このドS変態魔神が!!!」
言うが早いか青白い顔を少しだけ赤くしたクルスはいつの間に携えたのか
両手に携えたウージー9㎜サブマシンガンをファウスに向けて
乱射した。
「うひぇえええええええええええええええええええ!!!!!!!」
反射的に近くにあったテーブルの下に避難した都築だが
床やら壁やらにあたり跳ね返ってくる弾丸が体に触れるギリギリのラインを掠めていくため全く安心できない。むしろいつ弾が当たるか不安で仕方ない。
「ふう・・・・。クルスくん・・僕は先ほど言ったはずだ。
店内のものを壊すのはやめてくれ。あと先ほどから可愛い可愛い
僕好みの美少女に弾が当たっているので乱射しないでください。」
ファウスはカウンター席から一歩も動いておらずただただコーヒーを飲みながらクルスを宥めている。
というかテーブルの下に避難している都築さえ弾丸
が掠めていくのにカウンター席にいるファウスには弾丸が掠めるどころか
普通当たるはずの弾も軌道をそれて壁やら床に方向を変えてしまう。
「なにが僕好みだ!?そいつを殺して同族にしたのはお前だろうが!!」
ファウスの宥めは逆にクルスに火を注いだようでマシンガンを
ここぞとばかりに乱射する。
当然、跳弾の数も増すので都築の危険度は増える。


しかしそれよりもなによりも今のクルスの言葉が気になった。


私をファウスさんが殺した?


なぜ?なんのために?

というか私生きてますけど。


そう思ったと同時にもう一つ都築は思い出した。


争いが始まる前にファウスが言った言葉。




心臓とまって呼吸とまって内臓破裂に全身骨折
綺麗に残ってたのは首の上だけだったけどなんとか大丈夫だよv




たしかにあの時全身の骨が折れる音を聞いた。
腹の底を火箸でかき回されるような熱にも似た激痛を感じた。
空気を吐き出す代わりに口からこぼれる紅い水をみた。
そして意識は暗闇に落とされた。

わたし

あのとき


しんでたの?

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狂喜と月01、情報→行動→死亡

―こわいー
東京裏新宿の一角に佇む寂れた喫茶店の前で少女は体を震わせた。
裏新宿の危なげな雰囲気とは全くかみ合わない少女。
結構な学費で知られる私立女子高校の白を基調としたブレザー姿、
淡い栗色の髪を背中まで伸ばしたストレート、
女性として考えても小柄な肢体、
高校生にしては幼すぎる顔の真ん中には大きな栗色の瞳が
不安げに揺れている。
―ユキ兄についてきてもらうんだったー
彼女は幾度か喫茶店のベルを鳴らそうと試みたが
どうしても鳴らす勇気がでない。
少女―京野都築―は一層体を震わせた。

数日前まで都築はいたって普通の高校生だった。
家庭環境は数年前に両親が他界してから
10違いの兄との二人暮らしだが
両親の莫大な遺産と
大手IT企業の社長である兄の収入で
生活は困ってないし若干妹馬鹿ぎみな兄との関係も良好だ。
すこし変則的な家庭環境だがありえなくはない。
学業の成績も中の上をキープしている。
友人も多くすこし恋とやらにも憧れている。
いたって普通の女子高生だった。
数日前、親友の沙希が殺されるまで。
あの日は兄と自分の誕生日で、
記念にフレンチレストランで食事をとっていた。
午後7時50分ごろに沙希の父から
電話がかかってきた。
「沙希がまだ帰ってきていないうえに電話がつながらない。何か知らないか?」
沙希の家は東横から結構遠い。
しかし30分もあれば着くし何より彼女は夕食を作りに帰ったのだ。
沙希は都築の知る限り約束は必ず守る。
そんな彼女が家に帰ってないなんて明らかにおかしい。
とりあえず6時ごろに東横で別れたこと、こちらからも電話してみる旨を伝え電話を切った。
その後、デパートでプレゼントを買い兄と交換会をして
10時頃家に帰りTVをつけ訃報をきいた。




沙希と都築は幼稚舎からの親友だ。
引っ込み思案で大人しい化粧っけのない清純な印象を受ける都築と
明るく何事も行動に起こし大人びた妖艶な雰囲気をもつ沙希が一緒にいるとよく周りから「仲がいいのが意外」と言われていた。
女性の都築から見ても沙希は綺麗だった。
スラリ長く細い美しい手足、腰まで伸ばした艶やかな黒髪、
黒曜石のような煌きを宿す切れ長の瞳、血を塗ったかのように紅い唇、大きい胸にくびれた腰。
いついかなる状況でも自信に満ちあふれた威風堂々とした佇まい。
それらはどれも都築にはないものだったしほしいものだった。
沙希は都築にとってあこがれの存在だったのだ。 



なんとか仇をとりたい!!!!!!



しかし相手は名前も分からない顔も分からない連続殺人犯。
どう考えても無理・・・・・。

警察にでもコネがあれば・・・・。
諦めかけた時、都築のもとに1つの噂が舞い込んだ。

「裏新宿のcafé LuNaに行けばなんとかなる」

それは以前からチャット友として交流があったブラメタという人物が教えてくれた。詳しいことは分からない。
しかし、行かないよりはいいだろう。
そう思い都築は今その店の前にいる・・・・はずだった。
彼女は扉を開ける勇気がなかった。
否、命の危機を感じ取っていた。


扉越しからきこえる音は明らかに戦場のそれだった。


打ち上げ花火にも似た破裂音と甲高い金属音が絶え間なく響き渡り、
途中罵声とガラスの割れる音が混じる虫すら避けて通るくらいあからさまに嫌な協奏曲。

喫茶店の向こうにはアフガンかどこかにでも繋がっているのかと疑いたくなる。

しかし、都築も17歳。

どこでもドアがないことも時空間トンネルがないこともしっている。

この協奏曲は喫茶店内で何かが争っている音だと認めざるを得ない。

すべては沙希のため


ようやく覚悟を決めドアノブに手を掛けた瞬間。




ドアだけ残し店が後ろに移動した。


「・・・・・ぇ・・・・ぇぇぇぇえええええええええ!!!!」


否、そうではない。
何者かがドアに何らかの衝撃を加え、
その結果真正面にいた都築ごとドアが外れ後ろに吹き飛んだのだ。


そう理解した時には、小さな都築の体は後ろのビルに直撃、
さらにドアが勢いよく都築の体をクッション代わりにして着地した。
「・・・・っ・・・・ぐ!!!!!」

都築の耳にベキという嫌な音が響き渡る。
ついで襲ってくる腹部を火箸でかき回されるような激痛が襲いかかる。あまりの痛さに叫び声をあげようとするが
口からこぼれるのは赤黒い血液と微かな吐息だけ。

ああ。わたし   しぬんだ。



凄まじい激痛の中、都築の意識は深い闇の中に落ちていった。


「あちゃ~・・・クルスのせいだぜ??こんな美少女殺しちゃって。」
「・・・うるさい。もとあといえばあんたがPC陣取ってるから・・」
見るも無残なサンドイッチにされている少女をみながら
クルスとファウスは雑談を交わしていた。
目の前の少女は内臓が破裂し全身の骨が拉げている状態だった。
きれいなのは顔ぐらいで後は原型すら留めていない。
完全に即死状態である。
そんな光景を目にしながら彼らはさして気にも留めていないようだった。それはそうだろう。そんなもの見慣れてるのだから。
「んふふ・・・こんな美少女だもんvエンバーミングさせてもらっても罰はあたらないさvこちとらむさ苦しい生活にはうんざりさv」
ファウスは少女の顔に舌を這わせながら甘く囁く。
伸ばし放題の金髪を背中で括りやけに青白い肌、
ゆるやかに笑みを浮かべる美しい顔だちを妖しく魅せている眼鏡から覗く吊りあがった紅い目。
どこまで病的に美しい男に少女の死体はよく似合っていた。
「・・・・あんた最初からそのつもりだったろう。」
適当に切った感が漂う人ではありえない鮮やかな緑色の髪をうっとおしげに掻きあげながら溜息をついた。
此方の肌も青白くまた壮絶な美形だった。
しかしそれよりも印象的なのは彼の眼のなかで輝くアメジストの様な紫の瞳と顔はおろか全身に広がる縫合痕と青い肌。
もはや肌というか青い布を継ぎ合わせたのかと間違うほど青かった。
「んふvそんなわけないさvただ窓からちらっと美少女が見えて
たまたま君をぶん投げたらその先に立てつけの悪いドアがあって
その先に美少女がいたという偶然に偶然が重なって起きたぼくにとってはラッキー、この子にとっては不運、君にとっても不運な出来事なわけで・・とりあえずエンバーミングしていい!?こんな可愛い僕好みな仔そうそういないしv人助けは大切さ!!人命第一v」
そういいながらファウスは己の服に血が付くにも関わらずすでに少女の死体を抱き上げ凄まじい勢いで店まで運んでいる。
「・・・俺の意見なんて関係ねぇだろうが・・『伯爵』さまにはよ。」
クルスはその光景を見ながらファウスに気に入られた哀れな少女
の運命に同情しながら血まみれのドアを持ち上げた。
よくもまあこんなに血が出たものだと半分感心していると、
血の海の中になにか板状のものを発見した。
そこには金色の文字で「私立蒼穹詩女学園2年 京野都築」と
彫られていた。どうやら少女の学校の名札らしい。
「きょうの・・・みやこ・・ちく・・・?変な名前」
そういいいながらポケットにそれをしまいクルスは再びドアを持ち上げ店に入っていた。


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狂喜と月00、某都心部女子学生の会話+夜のニュース

≪某都心部の女子高生の会話≫

「つか最近物騒だよね~」
「ああ、連続殺人?たしかGKだっけ?犯人。」
「そうそう。うちの親父警官なんだけどさ~。」
「あっ。沙希のお父さん警官だったけ?」
「うん。で犯人の名前はある英単語の略称なんだって。」
「えっ!?なになに!?気になるんだけど!!」
「・・・・誰にも言わない?」
「いわないwいわないw」
「・・・・God Knows。」
「は?」
「ゴッドノウズ・・神のみぞ知るって意味らしいよ?」
「それが犯人の名前??なんかえらそうなひとだにゃ~★」
「・・・都築。キャラ違う。」
「あはっ!!・・ん?ちょっと待って?・・・」
「電話?」
「うん・・・あ・・・ユキ兄からだ・・・」
「さん?そういえばあんた今日誕生日じゃ・・」
「とりあえず出るね・・もしもし・・うん・・うん・・
わかった・・・じゃあ7時に迎えに来てくれんの?・・・
いま?・・東横のファーストフード・・うん。待ってる。
じゃあまたあとで。・・・・」
「なんだって?」
「今日は二人の誕生日だからどこか食べに行こうって。」
「ふ~ん。でもあたしもう帰るよ?」
「え~!?マジ!!」
「うん。今日夕飯当番。」
「ぶ~」
「明日は暇だから沢山はなそ?」
「うん!!」
「つかすごいよね・・10違いの兄妹で誕生日一緒って。」
「えへへw兄つーかお父さんみたいなもんだし。」
「はいはい。そんじゃーね?」
「うん!!また明日!!」










≪十時のニュースをお知らせします。
今日8時30分ごろ、東京の住宅街で女子高生が何者かに
襲われ亡くなっている所を家族が発見しました。
被害者は私立高校に通う卯月沙希さん17歳で
死因は出血によるショック死と思われます。
また犯行現場には「GK」の文字が残っていることから
最近勃発している連続殺人事件との関連性も懸念されます
次のニュースです・・・・・≫

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プロフィール

葛城 千里乃

Author:葛城 千里乃
おたく。悲しいまでにオタク。
中1でピースメーカーの土方×鉄にはまり
以来オタク歴6年な悲しい子。
引きこもりニート歴4年のロリコンオタクな兄の影響を受け、
美に命を懸ける姉によってなんとか見た目はふつーなこ。
しかし話すとオタ。
口癖は「萌」「死ね」「あほじゃん!!!」「がーん」
最近買った猫耳BLゲームのパシリ悪魔とエロ猫親父に
萌え萌えし、ぶっちゃけこの二人×主人公の3pEDが見たかった
と叫んじゃってる悲しい子。

二次創作なら基本主人公受け。
ゼロサムで連載中の人形漫画のうさぎさんは別。
ぶっちゃけ総受け。




好物は年上攻め、鬼畜攻め、へたれ攻め、強気受け、素直じゃない受け
つーか猫耳BLゲームの主人公はピンポイント。もう萌しぬ。



趣味は、小説を書く、妄想、絵をかく、音楽鑑賞。




かわいそうな子です。拾ってください。

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